グラフィックデザイナーが子どもに読んだ絵本

グラフィックデザイナーでカエラー母が子どもに読んだ絵本やカエル本を紹介していきます。

ぜんぶで 3785 も できました。

「あめがふるふる

田島 征三 さく フレーベル館

2017年5月刊

 

あめがふるふる

 

田島 征三さんの絵本は他にも何冊か読みましたが

なんというか、

圧倒的なエネルギーと生々しいとも言えるパワーで

一度その絵を見たら忘れられません。

 

1940年生まれという事なので

多分その年代だからこそ、なのかも。

戦後生まれでこのパワーを持つ人を私は見たことがありません。

 

この「あめがふるふる」は

彼の濃厚なエネルギーはちょっと抑えられていて

ほのぼの楽しい作品です。

 

ネノくんとキフちゃんの兄妹が

雨の日にお留守番をしていると

いろんな生き物が遊びに来てくれます。

 

そして、カエラーとしては

この裏表紙。

あめがふるふる裏表紙

ツボりました。

 

もちろんお話にもカエルが出てきます。

あめがふるふる

カエルだけでなく、おたまじゃくしも出てきます。

 

「キャー! オタマジャクシがいっぱい!」キフちゃんはびっくり。

 

と、いっぱい出てくるのですが、どう出てくるのかは

実際にお手に取って見てみてください。^ ^

 

本当に雨の日にこんなに来てくれたら楽しいのにな〜

 

最後の方にあまりに雨が降って生き物たちが溺れそうになってきたので

みんなのために笹舟を作ってあげるのですが

 

なんと3785も。

 

なぜ3785?

どぶん となかまいりしたのでした。

「せかいの はてって どこですか?

アルビン・トゥレッセルト さく ロジャー・デュボアザン
三木 卓 やく

童話館出版

1995年7月刊

 

せかいのはてってどこですか?

 

ロジャー・デュボアザンの素敵な絵に惹かれて

カエラーとしてだいぶ前に買った本。

 

今回、Amazonでレビューを見てみたら

意外にも評価が辛くてビックリ。

 

みなさん引っかかっているのは

「ばかな はえやむしのおかげで・・・」とか

「さあ、このおろかな かえるは どうしたかな?」

などの表現らしい。

 

全ての表現が表面的にはどんどんマイルドになってる現代からすると

昔の絵本は今読むとドキッとするような文章や絵が時々ありますが

 

これも、アメリカでの出版が1958年、日本語訳が1995年なので

昔はこれくらい普通だった、ということで

私はあまり気になりませんが、

 

逆に今「ばかな」が出てきたくらいでドキッとしてたら

未来の表現は一体どうなっているのかが不安です。

 

 

さて、この本、

 

せかいのはてってどこですか?

 

井の中の蛙大海を知らず」

のかえるくんが井の中を出て、せかいを知りに出かけて行き

ついには仲間にめぐり合う、というお話。

 

ロジャー・デュボアザンの描く「せかい」は

実は結構狭いエリアではありますが、

キラキラ輝く自然豊かな牧場や森がホント美しいです。

 

そしてこのカエルのように、

子供にも今自分に見えている世界がすべてだと決めつけず

自分の世界をどんどん広げていってほしいものです。

 

わあ、カーテンにぴったりね!

「おばけやしきにおひっこし

カズノ・コハラ さく 石津ちひろ やく 光村教育図書

2009年9月刊

 

おばけやしきにおひっこし

 

カズノ・コハラさんはイギリス在住の作家で

イギリスで出版された後、日本語版として出たようです。

2008年度ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞受賞。

 

 

この本、地がオレンジで、版画が黒。

目立ちます。

 

黄色と黒の組み合わせが危険や注意を促すサインや看板に

よく使用されるのはそれがとても人の目につきやすいから。

なので、この本も本屋さんに並んでるとすぐ目に飛び込んできます。

でもハロウィーンのお話ではないし、

オレンジの必然性ってなんだろう・・・

 

ブルーだと

「すてきな三人ぐみ」に似てしまう?

 

 

紫でもいいような気がするけど

大人っぽくなっちゃうか。

グリーン、ピンク・・・うーん

消去法になっちゃうけどやっぱりオレンジ、か。

 

それはともかく、

ここに出てくるオバケ。

ティッシュを切り貼りしたようなテクスチャーで

オバケが「異質」なもの、

という意味でもこの本にピッタリ。

このオバケの表現好きです。

 

おばけやしきにおひっこし中ページ


オレンジ、黒、白、という強い色の組み合わせ

シンプルでわかりやすいイラスト

 

すべてが強い本です。

 

そしてもう1つ、主人公の魔女のマージョリィも

 

強いです。

 

オバケなんてただの布切れ代わり

としか考えていません。

 洗濯機で洗って、カーテンにして

テーブルクロス、ひざ掛け

そしてふとんにしてしまいます。

 

素直にされるがままのオバケの方も

どうなんだ、という気がしますが。

 

最後に、

かわいらしいので息子の反応はどうかな、と

思いましたが、オバケがいろんなものに変身?するからか

小学校入る前あたりまでは結構楽しんで読んでました。

 

かえるの ケロッパだ

「くらい くらい

はせがわせつこ ぶん やぎゅうげんいちろう え

福音館書店

2006年10月刊行

 

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ハッキリ言います。

小さい子向けの王道です。テッパンです。

 

可愛くてハッキリした絵のタッチ、

フレーズや場面の繰り返し、言葉のリズム感、

そして、小さい子が大好きなスイッチ!

 

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子供が食いつかないわけがないです。

 

私も食いつきましたが。

 

なぜってカエルもいるんですよ〜。

名前はケロッパ。いいですね〜昭和っぽい!

ワンコも出てくるんですが、これまた名前が

 

さぶちゃん

 

いいですね〜

 

それはともかく、

カエル本を買ったつもりがなくても

ページにカエルを発見すると、

それだけでその本の宝物ランクが上がります(私の脳内比)。

 

息子も1歳くらいの時

絵のスイッチを自分で押しては

次のページでシルエットだった動物が

何の動物かわかると喜び、またスイッチを押す

 

を何十回も繰り返してました。

しまいには私の方が読むのに飽きて

最後はおざなりに読んでましたっけ。すみません。。

 

どうなると おもう?

「バナナじけん

高畠那生 さく BL出版

2012年12月刊行

 

バナナじけん

 

息子が幼稚園時代、ゲラ受けして

何回も連続で読まされた本の一冊。

 

バナナを山積みしたトラックからバナナが1本ポロッと落ち、

さるがそれを拾って食べ、皮をポイッ。

うさぎが落ちた皮でツルッとすべり

そのあとに来たワニはその皮を背中にひょろっと乗せ・・・

 

どうなると おもう?

 

“不自然”と言えばこの上なく不自然な世界の

クスッと笑っちゃうお話。

 

 

また、さるやワニはリアルな方だけど

なぜかうさぎだけ濃い空色で人間のような体、

そしてうさぎだけひたすらバナナの皮で転びまくり

最後にはひとりだけズタボロに。

最終ページで疲れ果てたうつろな目をしているのが

おかしいやらかわいそうやら。

 

バナナじけん中ページ

 

長さんの本もそうですがこれも

なんで? と考えても答えはありません。

 

言葉のリズム感がいいので

小さい子は大好きだと思います。

 

「まちがいない」「こんやだ」

「ネコヅメのよる

町田 尚子 さく WAVE出版

2016年5月刊行

 

ネコヅメのよる

 

このところのネコブームで

猫の絵本もたくさん出版されているけど

この絵本は別格じゃないでしょうか。

 

まずは猫の描写力。

これは飼っていないとここまで描けないし、

よく観察されていて、猫を飼ってる人ならみんな

 

このポーズよくやるやる!

 

と思うはず。

 

雰囲気もちょっとダークで

猫が住んている家が

おばあちゃんの家みたいな昭和な感じなので

リアルなような、ファンタジックなような

不思議な世界です。

 

ストーリーは

猫飼いなら

細〜い三日月を見たときに

ネコの爪みたいだなあ、と思ったことがある人

多いのでは。

そこから着想されたのかな、と推測。

私も思ったことあります。

 

お話としてはシンプルなので

この本はひたすら

 

猫、猫、猫を

 

眺める本、でしょうか。

 

うちは去年までネコが3匹(今1匹 涙)いたので

息子は

「あ、これぼんに似てる〜」

とか似てる猫探ししてました。

 

一点、私が引っかかるというか見てみたかったのが

ネコヅメが出て、ネコたちが一斉に立ち上がるシーンで

全員のネコの瞳孔が細いんです。

でも夜だし、細い月の夜だし、ネコの瞳孔は

 

まん丸

 

なはず。

 

まん丸お目目バージョン見たかった。

 

せつなくも壮大で美しい、愛のおはなし

「ことりをすきになった山

アリス・マクレーラン さく  エリック・カール
ゆあさ ふみえ やく 偕成社

 

ことりをすきになった山

 

たまたまイラストの参考にエリック・カール氏の
絵本を何冊か見てて発見。

 

 

山の時間はあまりにも長く、

 

ことりの時間はあまりも短い。

 

山の想いに、ことりは命をつなぐことで答え、

 

山の涙は少しずつ、少しずつ

 

岩だらけの山をみどりに変えていく。

 

そしてついに・・・

 

 

なんてスケールの大きい愛のものがたり。

そして、せつない。

 

 

まさにいのちの讃歌。

 

小学中学年くらいから読めると思いますが、
これこそ大人に読んでほしい一冊です。

 

この本も宝物です。